『遺灰ビジネス』--福岡市、火葬場から出る"残骨灰"に含まれた有価金属売却で約500万円の収入

福岡市は2008年度、火葬場から出る「残骨灰」に含まれた有価金属を売却し、市の財源に組み入れる制度を導入。3月末までの1年間で約500万円の収入になったことが分かった。同市は予想を上回る財源の確保に驚いているが、市民に制度を告知していないため、遺族は「遺灰ビジネス」の存在を知らされていないのが現状だ。過去、市民からの反発で売却をやめた自治体もあり、遺族感情への配慮や財産権などの課題も残されている。

福岡市などによると、遺体を火葬した後の遺灰には、指輪などの貴金属のほか、入れ歯や人工骨、人工関節などで使われた金、銀、パラジウムなどの有価金属が含まれている。九州など西日本地区では火葬後、遺族が骨の一部を骨つぼに納めて持ち帰るのが一般的だが、火葬場に残された残骨灰は、自治体側が専門の処理業者に委託して埋葬している。

同市でも長年、民間業者に処理を委託してきたが、07年度に有価金属を売却して利益を得ていたことが判明。「最終処理まで行政が責任を持つことで、火葬業務の透明化を図る」(担当者)ため、08年度から有価金属の売却を制度化したという。

同市によると、昨年4月から今年3月末までに火葬された遺体は8384体で、残骨灰は約30トン。有価金属の売却も民間業者に委託しているが、契約に基づき市に還元される売却益は、500万円程度になる見通しだという。

残骨灰の所有権については、多くの自治体が「収骨した後に遺族が持ち帰らなかった時点で、所有権は放棄されたとみなす」との立場をとる。火葬場の調査や研究をしている「日本環境斎苑協会」(川崎市)によると、福岡市以外では、東京都や名古屋市が有価金属を売却しているが、残骨灰の取り扱いをめぐっては墓地埋葬法にも明確な記述がなく、所有権や財産権の解釈は各自治体任せになっているという。

一方で、遺族感情は複雑だ。北九州市は過去、同様の制度を導入していたが、1991年度以降は売却を中止している。同市の担当者は「制度を知った遺族から『遺灰を換金するのはおかしい』と批判があったから」と説明する。

映画「おくりびと」の原点となった小説「納棺夫日記」の著者、青木新門さんは「人の死や遺体の尊厳は、国や地域、文化、考え方で異なるため、一概に制度が悪いとは言い切れないが、遺族に周知していないのはまずい。すぐに告知し、制度への意見を聞くべきだ」と指摘。福岡市の担当者は「今後、市の条例に制度を記載したり、火葬後に遺族に伝えたりすることも検討していきたい」と話している。

◎福岡市
http://www.city.fukuoka.lg.jp/

◎ソース
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/88688
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