なぜ消息を絶ったマレーシア航空B777機はいまだに発見されないのか
消息を絶ったマレーシア航空のB777機は今だに発見されていませんが、なぜ発見されないのでしょう。
海上に油膜があった、飛行機のドアの一部みたいな物が見つかったなどのニュースは目にしますが、機体が見つかったとか、シートやスライドが見つかったなどの話は耳にしない。
私達フライトアテンダントは「いざ」という時のために飛行機に乗り込んでいる「保安員」です。
いろんな訓練を受けますが、その一つが非常時における脱出方法です。
陸上、水上へ飛行機が墜落する事を考え、その状況を把握して脱出しますが、あらかじめ墜落するのに10分という時間が残っているとわかった場合、どういう行動を取らなくてはいけないのかなど、1年に1回行われるテストで実際にインストラクターの前で行動を取り、テストに合格すると、その日からまた1年間乗務が出来るという「資格」を更新出来ます。
パイロット達は6ヶ月に1度資格更新をしなくてはいけません。
カンタス航空だったでしょうか、もし航空会社名を間違っていたらごめんなさいという事で書きますが、客室乗務員達は6ヶ月ごとに資格更新をしなくてはいけないと聞きました。
もしこれが本当だとすると、彼らは他の航空会社よりいろんな事が身についていると思う。
1年間の資格を更新したとしても、私達もがんばって学ぶのはその訓練の前から当日まで。
カンタス航空の場合、やっと資格更新したと思ったら、また何ヶ月か後から資格更新のための勉強をする事になる。
カンタス航空の安全性は高いと言われていますが、もし年に2回も訓練を受けているのであれば、客室乗務員達も他社よりアップデートされたスキルを持っていると思う。
ところで陸上、水上での墜落時、どうすればいいのかを訓練されている私達ですが、水上にあらかじめ着陸するとわかっていたら、座っている客達にライフベストの着用やブレイスポジションを伝えたりするのですが、これが出来るのはDitchingと呼ばれている水上着陸まで十分に時間がある場合に限られます。
今回のマレーシア航空事故機は水中にあると思われますが、ライフベストを着用した人が誰一人として浮いていない事を考えると、ライフベストを着用する時間さえなかったと思われます。
また、人が浮いていない事を考えると、まだ機内に閉じ込められているのではないかと思っています。
私はなぜマレーシア航空機の場所を特定する事が出来ないのか、あれこれ考えてみました。
まず、機内にはビーコンを出す機材があります。
これは陸上や水上に無事着陸した時、フライトアテンダント達が取り出して、ビーコンみたいなシグナルを出すように機材を設定し、レスキュー隊に場所を知らせるという物。
この使い方もトレーニングで学び、また1年に1回ある資格更新のトレーニング時にも、見て触って再確認を行います。
トランシーバーみたいな物もあるのですが、これは海水など、とにかく液体の物をある場所に入れると使えるようになると言う物。
レスキュー隊の人達と交信する時はこちらのシグナル、離れ離れになったクルー達と交信する時はこちらのシグナルと分けられていて、私達も液体で使えるようになるこのトランシーバーの使い方を学びます。
飛行機のドアは内側に膨らんでいますが、あの中にはスライド、またはスライドとラフトが一緒になった物が折りたたんで入っています。

よく機内アナウンスで「Arm the door for departure」とか「Disarm the door for arrival」と英語で流れます。
国内線になると「乗務員はドアをアームドポジションにしてください」みたいな内容が流れます。
このARMとはどういう意味なのかと言うと、Armという英語の意味は「武装」などの意味がありますが、飛行機の場合、ドアのぽっこりした部分に入っているスライドラフトを飛行機の出入り口にくっつけるレバー作業が「Arm」という動作になります。
客達が乗り込む時はドアが開いていますが、あの時はスライドラフトが飛行機本体とくっついていません。
しかしドアを閉め、プッシュバックが行われる時、客室乗務員達がドアモードをアームポジションにして、ドアを開けるといつでもすぐにスライドラフトが飛び出す設定にします。
ARMEDポジションのドアを開くと、このようにスライドが飛び出して、滑って逃げます。

地上で脱出する時には滑り台みたいなスライドになり、水上着陸の時にはこの部分がラフトになり浮くため、人々はライフベストを着用してこのラフトに乗り込み、飛行機とラフトを切り離して海上に浮きながら救助を待ちます。

水上でレスキュー隊を待っている間、このラフトに隠されているいろんなサバイバルキットを取り出すのですが、その中の一つに、これまたレスキュー隊に場所を知らせる電波を発する物があります、またはある場合があります。
ラフトの端にそのビーコンみたいな物をくっつける作業をするのですが、今回の墜落で、このラフトの中に入っているビーコンみたいな物が作動しないのだろうか。
もし作動したら、飛行機の場所を知らせてくれるのではないか。
そう思ったのですが、この電波を発する物にもいろんなタイプがあるようで、ラフトの中に備え付けられている物もあれば、飛行機から持ち出してラフトにくっつける物もある上、アンテナを手動で立て、スイッチをスライドさせて作動させたりする物もあるため、この機材を持っていたとしても、自動的に居場所を知らせてくれる訳ではなさそうです。

仕組みとしては、墜落した飛行機から発せられるシグナルをサテライトなどがキャッチして、レスキュー隊が向かってくれるという物。

せっかく素晴らしい物が機内にはあるのに、マレーシア航空の墜落機のように上手く使われない場合がある。
これを作動させる人がいなかった、つまり、生存者がいなかったと思われます。
事故が起きたら自動で作動する車のエアバックのように、自動でこれらのビーコン発信機が作動してたらいいな、と常に思っています。
これらのビーコンは地上や海上から電波を発する時居場所がわかるようですが、今回のマレーシア航空機のように水中だと、これらの電波は届くのだろうか。
使い方は学んでいますが、こういう技術など専門的な知識がないため、どれくらいの深さからまでなら電波が届くのかなど知りません。
飛行機に積み込まれているいろんな機材が現在地を教えてくれる仕組みになっていますが、今後、人の手を借りなくても、何かの衝撃が起こったら、自動でビーコンが作動するような機材になってくれたらいいなと思います。
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海上に油膜があった、飛行機のドアの一部みたいな物が見つかったなどのニュースは目にしますが、機体が見つかったとか、シートやスライドが見つかったなどの話は耳にしない。
私達フライトアテンダントは「いざ」という時のために飛行機に乗り込んでいる「保安員」です。
いろんな訓練を受けますが、その一つが非常時における脱出方法です。
陸上、水上へ飛行機が墜落する事を考え、その状況を把握して脱出しますが、あらかじめ墜落するのに10分という時間が残っているとわかった場合、どういう行動を取らなくてはいけないのかなど、1年に1回行われるテストで実際にインストラクターの前で行動を取り、テストに合格すると、その日からまた1年間乗務が出来るという「資格」を更新出来ます。
パイロット達は6ヶ月に1度資格更新をしなくてはいけません。
カンタス航空だったでしょうか、もし航空会社名を間違っていたらごめんなさいという事で書きますが、客室乗務員達は6ヶ月ごとに資格更新をしなくてはいけないと聞きました。
もしこれが本当だとすると、彼らは他の航空会社よりいろんな事が身についていると思う。
1年間の資格を更新したとしても、私達もがんばって学ぶのはその訓練の前から当日まで。
カンタス航空の場合、やっと資格更新したと思ったら、また何ヶ月か後から資格更新のための勉強をする事になる。
カンタス航空の安全性は高いと言われていますが、もし年に2回も訓練を受けているのであれば、客室乗務員達も他社よりアップデートされたスキルを持っていると思う。
ところで陸上、水上での墜落時、どうすればいいのかを訓練されている私達ですが、水上にあらかじめ着陸するとわかっていたら、座っている客達にライフベストの着用やブレイスポジションを伝えたりするのですが、これが出来るのはDitchingと呼ばれている水上着陸まで十分に時間がある場合に限られます。
今回のマレーシア航空事故機は水中にあると思われますが、ライフベストを着用した人が誰一人として浮いていない事を考えると、ライフベストを着用する時間さえなかったと思われます。
また、人が浮いていない事を考えると、まだ機内に閉じ込められているのではないかと思っています。
私はなぜマレーシア航空機の場所を特定する事が出来ないのか、あれこれ考えてみました。
まず、機内にはビーコンを出す機材があります。
これは陸上や水上に無事着陸した時、フライトアテンダント達が取り出して、ビーコンみたいなシグナルを出すように機材を設定し、レスキュー隊に場所を知らせるという物。
この使い方もトレーニングで学び、また1年に1回ある資格更新のトレーニング時にも、見て触って再確認を行います。
トランシーバーみたいな物もあるのですが、これは海水など、とにかく液体の物をある場所に入れると使えるようになると言う物。
レスキュー隊の人達と交信する時はこちらのシグナル、離れ離れになったクルー達と交信する時はこちらのシグナルと分けられていて、私達も液体で使えるようになるこのトランシーバーの使い方を学びます。
飛行機のドアは内側に膨らんでいますが、あの中にはスライド、またはスライドとラフトが一緒になった物が折りたたんで入っています。

よく機内アナウンスで「Arm the door for departure」とか「Disarm the door for arrival」と英語で流れます。
国内線になると「乗務員はドアをアームドポジションにしてください」みたいな内容が流れます。
このARMとはどういう意味なのかと言うと、Armという英語の意味は「武装」などの意味がありますが、飛行機の場合、ドアのぽっこりした部分に入っているスライドラフトを飛行機の出入り口にくっつけるレバー作業が「Arm」という動作になります。
客達が乗り込む時はドアが開いていますが、あの時はスライドラフトが飛行機本体とくっついていません。
しかしドアを閉め、プッシュバックが行われる時、客室乗務員達がドアモードをアームポジションにして、ドアを開けるといつでもすぐにスライドラフトが飛び出す設定にします。
ARMEDポジションのドアを開くと、このようにスライドが飛び出して、滑って逃げます。

地上で脱出する時には滑り台みたいなスライドになり、水上着陸の時にはこの部分がラフトになり浮くため、人々はライフベストを着用してこのラフトに乗り込み、飛行機とラフトを切り離して海上に浮きながら救助を待ちます。

水上でレスキュー隊を待っている間、このラフトに隠されているいろんなサバイバルキットを取り出すのですが、その中の一つに、これまたレスキュー隊に場所を知らせる電波を発する物があります、またはある場合があります。
ラフトの端にそのビーコンみたいな物をくっつける作業をするのですが、今回の墜落で、このラフトの中に入っているビーコンみたいな物が作動しないのだろうか。
もし作動したら、飛行機の場所を知らせてくれるのではないか。
そう思ったのですが、この電波を発する物にもいろんなタイプがあるようで、ラフトの中に備え付けられている物もあれば、飛行機から持ち出してラフトにくっつける物もある上、アンテナを手動で立て、スイッチをスライドさせて作動させたりする物もあるため、この機材を持っていたとしても、自動的に居場所を知らせてくれる訳ではなさそうです。

仕組みとしては、墜落した飛行機から発せられるシグナルをサテライトなどがキャッチして、レスキュー隊が向かってくれるという物。

せっかく素晴らしい物が機内にはあるのに、マレーシア航空の墜落機のように上手く使われない場合がある。
これを作動させる人がいなかった、つまり、生存者がいなかったと思われます。
事故が起きたら自動で作動する車のエアバックのように、自動でこれらのビーコン発信機が作動してたらいいな、と常に思っています。
これらのビーコンは地上や海上から電波を発する時居場所がわかるようですが、今回のマレーシア航空機のように水中だと、これらの電波は届くのだろうか。
使い方は学んでいますが、こういう技術など専門的な知識がないため、どれくらいの深さからまでなら電波が届くのかなど知りません。
飛行機に積み込まれているいろんな機材が現在地を教えてくれる仕組みになっていますが、今後、人の手を借りなくても、何かの衝撃が起こったら、自動でビーコンが作動するような機材になってくれたらいいなと思います。
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